05 夫を説得

●ポイント
大きな決断をするときには、痛みを伴う場合もある。しかし、買い替えでなく、借り換えでもよかったのかも、と思うのは後の祭り。新築にせよ、中古にせよ、購入時には返済額に余裕を持ってプランを立てることが必須。

 新築マンションを見に行ったり、そして少し落ち込んだり、買い替えのことを忘れようと心がけたり。そんな浮き沈みの毎日を地味に送っていた。

 そして、すっかり忘れそうになったころ、先の一番高額査定を出してきた不動産会社の営業さんから電話をもらった

  セールスの電話が大嫌いな私が、つい対応してしまうようなセールストーク。しつこくなく、つい「それでいいの?」とこっちが心配になってしまうような引き際の良さ。

 嫌な思いをしたセールスの電話は、着信拒否を設定するくらい、セールス嫌いの私だったのだが、不思議と快く受話器を取れたのは、多分「嫌な気持ちにならない」ことを知っていたからだと思う。

 そしてしばらくの間、忘れたころに電話が来るような、そして進展なく切ってしまう日々が続いた。しかし、進展がないと感じていたのは私だけだったのかもしれない。 その営業さんのトークで少しずつ少しずつ、売却の方向へにじりよっていたのだ。

 そして気がついたら、夫の説得に入っていた。
 とりあえず、こんな電話があった、ということ。
 買い替えできるかもしれないこと。

 でも、夫の気持ちを固めたのは、私の努力でもなく、不動産会社の営業力でもなく、「月々の返済が厳しくなってきた」という悲しい現実だった。でも、それは残念で恥ずかしいことだが、事実だったのだ。

 そのマンションを購入したのは、夫の残業が激しく、また私も正社員としてフルタイムで働いていた。つまり、とてもバブリーな時期に決めてしまった購入だったのだ。

 そこから、私が派遣社員に転向したり、夫の残業が落ち着いてきたりと、年収額がどんどん減少していった。若干強引に決めた車のローンも重くなってきていた。

 落ち込む私達夫婦に、速やかに計算機をたたき、最新の金利相場から、買い替えによっておきる借り換えで月々の負担がどうなるかを教えてくれたのも、敏腕営業さんだった。

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